夜風にさらわれたお姫様


数時間後。


榴愛は煌夜と共に夜坂街の大型商業施設へ来ていた。

「な、なんか緊張する……」

「なんで」

「だって煌夜さん目立つ……」

実際、周囲がかなりざわついている。

煌夜は身長も高いし、とにかくオーラがすごい。

しかも顔が良すぎる。

「あの人やば……」

「モデル?」

「彼女かな」

ひそひそ声が聞こえる。

榴愛は落ち着かなかった。


すると。

ぐい。

「きゃっ」

突然腕を引かれる。

煌夜の胸にぶつかった。

「よそ見すんな」

「っ……」

近い。

心臓がうるさい。

煌夜はそのまま自然に榴愛の手を握った。

「迷子になるだろ」

「こ、子供じゃないです!」

「なら離すか?」

「……」

離されるのは少し嫌だった。

その沈黙を察したのか、煌夜が笑う。

「素直」

「うぅ……」

悔しい。


買い物中。

煌夜は意外にも真面目に服を選んでいた。

「これ似合う」

「え、派手じゃないですか?」

「可愛い」

「っ」

さらっと言うな!!

榴愛は真っ赤になる。

煌夜は楽しそうだった。

「試着」

「えぇ!?」

「早く」

半ば押し込まれるように試着室へ。


数分後。

恐る恐るカーテンを開ける。

「……どうですか」

煌夜がこちらを見た。

一瞬、目を細める。

「可愛い」

直球だった。

榴愛の顔が熱くなる。

「からかわないでください……!」

「本気」

「っ……」

もう無理。

心臓が持たない。