ソング・ツインズ

わたしは姫歌中学校から歩いて10分くらいの場所にある孤児院で暮らしている。
幼い頃にバラバラになった家族は今どこでなにをしているのかわからない。
記憶が曖昧なほど小さかったのが良かったのか、わたしはすっかり施設の子供でそこに違和感もなかった。
ただ、ときどき同級生の子たちが家族の話をしていてもあまり積極的に会話に加われないことはある。
そんなときは『今度わたしも参加しようかな』なんて、冗談で言ってみんなを笑わせたりする。
それでも心にわだかまりが残ってしまったときには、昼間みたいにどこかひと気のない場所で歌を歌う。
泣きたい時には涙の出る切ない歌を。