星屑の唄【期間限定公開】

 大丈夫、大丈夫、きっと大丈夫……。


 ――〈スピカ様可哀想……〉


 考えるな。

 信者に散々同情されたあいつは今も自分が被害者だと思い込み、大した障害もなく家族に応援されながら音楽活動ができているなんて。

 そんなの考えたところで何も変わらない。虚しくなるだけだ。

 私は、大丈夫。

 母親が月城のことをすっぱり忘れてくれるまでこうして勉強していればいい。

 その先にはきっと穏やかな日常が待ち受けているはずだ。

 だから、それ以外のことは全部ぐちゃぐちゃにして丸めて捨ててしまえ。

 私は全部を手にするにはまだ色んなものと足りていなくて。とにかく今目の前にある大切なものを守ることに必死だった。

 こうして月城の返信を見ることもできないまま、私たちはお盆を迎えた。


      ★


 高校生の夏休みは社会人の次くらいに短い。

 お盆が終われば補講と称してまた学校が再開する。

 生活習慣がやや乱れた頭はまだ寝てたいと訴えてきて鬱陶しい。

 車窓の外。流れゆく景色の奥で高々と膨らむ入道雲を眺めていると、お盆での出来事がパソコンのディスプレイのように次々と浮き上がってきた。