星屑の唄【期間限定公開】

 私は大学進学するよりも安定した職業に就くよりも、シンガーソングライターになりたいと。


 ――でも、正直に言ったところでなにになる?


 母親が聞き入れてくれるわけないじゃないか。小学6年生のときですら恥ずかしいと一蹴された内容だ。それを高校2年生の今になって言ったところで、また、否定されるだけ。それどころかまだそんな子どもじみたことを言っているのかと激情されるところまでありありと想像できる。

 それでもなお夢を語る気力など、到底残っていなかった。


 私はずっと疲れている。

 誹謗中傷された日から、あるいは、スピカが現れた日から。


「そんなわけないよ。ただ、気分転換に歌ってただけ」


 絞り出した声は震えていなかっただろうか。どうか気づかないでくれと祈りながら腕に手を添えた。


「じゃあ今日の昼、男の子と歩いてたのは?」

「……え?」

「日傘で相合傘なんかして恥ずかしくないの?」


 間違いない。月城のことだ。

 見られてたんだ。そう思うと急に恥ずかしくなって、頭に血がのぼった。

 そういえば、今日張り込んだところは母親の職場の近くだ。迂闊だった。お昼休憩の時間に母親が外食しに行く可能性を完成に失念していた。