炎上以降まともに曲を創れていないくせに、溜まった音の欠片だけを、アイディアの種を、永遠とノートに楽譜を書いていたあの頃のように、ひとりの世界に閉じこめる。
その世界の中で神経が研ぎ澄まされていたことで、いつもより外の音に鈍感になっていた。
もっと具体的に言うなら、母親が朝に今日は早く帰ってくると言っていたことを忘れ、母親が帰ってきた音にも気づけなかった。私は完全に油断していたのだ。
母親は依然として私を見つめている。あの日のような嫌な目で。
――「なれるわけないでしょ、そんなの。恥ずかしいから二度と言わないで」
どくん、どくんと心臓がはねる。背中ではツーッと冷たい汗が流れ落ちた。緊張したとき特有の喉の乾きにより、上手く言葉が出てこない。
「まさか、まだ歌手になりたいの?」
沈黙を破ったのは母親の声だった。
記憶の中とは違い、どこか恐れているように見える。
自分の娘に限ってそんなことない。自分の娘はちゃんと大学に進学して収入が安定したところに就職する。
そう信じさせてくれと訴えかけているようだった。
母親はたぶん、私が世間が想像する"普通"から逸れるのが怖いんだ。自身が"普通"の道しか辿ったことがないから。
だったらいっそのこと、全部ぶちまけてしまおうかと思った。
その世界の中で神経が研ぎ澄まされていたことで、いつもより外の音に鈍感になっていた。
もっと具体的に言うなら、母親が朝に今日は早く帰ってくると言っていたことを忘れ、母親が帰ってきた音にも気づけなかった。私は完全に油断していたのだ。
母親は依然として私を見つめている。あの日のような嫌な目で。
――「なれるわけないでしょ、そんなの。恥ずかしいから二度と言わないで」
どくん、どくんと心臓がはねる。背中ではツーッと冷たい汗が流れ落ちた。緊張したとき特有の喉の乾きにより、上手く言葉が出てこない。
「まさか、まだ歌手になりたいの?」
沈黙を破ったのは母親の声だった。
記憶の中とは違い、どこか恐れているように見える。
自分の娘に限ってそんなことない。自分の娘はちゃんと大学に進学して収入が安定したところに就職する。
そう信じさせてくれと訴えかけているようだった。
母親はたぶん、私が世間が想像する"普通"から逸れるのが怖いんだ。自身が"普通"の道しか辿ったことがないから。
だったらいっそのこと、全部ぶちまけてしまおうかと思った。



