創作はひとりでしたい。
でも、それ以外のときなら、誰かと一緒にいてもいいんじゃないか。
そう思えるくらい、私は油断していたのだ。
だから普段しないような失態を犯した。
そしてその代償は、私の音で払わなければならなかった。
★
「なにしてるの!?」
薄暗い私の部屋に、母親の怒りとも焦りとも捉えられる声が響き渡った。
「――あ」
やらかした、と思ったときにはもう手遅れで、すごい勢いで血の気が引いていく。手から離れたヘッドフォンが、無惨に音を立てて床に落下した。
母親の次の言葉が発せられるまでの数秒で、今日の軌跡が走馬灯のように再生された。
今日もスピカ現れなかったねとかもうすぐお盆だけど今まで通り集まれそう?とか話しながら月城と分かれ、寄り道することなく帰宅し、パソコンとヘッドフォンを用意した後、積もった音たちを夢中で吐き出していた。
悪夢を見たときの刺すような音と平穏な時間により生まれたやわらかい音。
見たもの、聞いたもの、感じたもの。
それらを織り交ぜて、ひとつの音楽に。



