雰囲気。
それを私は見落としていたのか。
意味は分からなくても雰囲気が好きだからと洋楽を聴く人もいると知っていたくせに。
思わぬ形で欠点を突きつけられ、口に砂利が入ったような嫌な気持ちになった。なにも今じゃなくていいじゃないか。
私が奥歯を噛み締めている間にもふたりの会話は続いていく。
「他にもこの曲とか話題になってるっぽい。なんかパクられてるって今騒がれてる、とか?」
「まじか。大変そう」
「んね」
冷たい手で触られたかのように、胸のあたりがヒヤリとした。
まさかパクリ疑惑のことまで知っているなんて。
梨々花はSNSを拠点とするシンガーソングライターに詳しい方ではない。にもかかわらず知っているということは、つまり――スピカが、メジャーになりつつあるってこと?
その可能性に行き着いたけれど、すぐになかったことにした。そう思いたくなかったから。
幸いスピカの話題はここで終わり、別のものへと切り替わったが、それでも私の心が晴れることはなかった。
ふたりの中でスピカが共通認識になってしまった。
その事実が薔薇の棘みたいに私にまとわりつく。
もし私がいるときにこの話をされていたら、私は上手く笑えただろうか。
それを私は見落としていたのか。
意味は分からなくても雰囲気が好きだからと洋楽を聴く人もいると知っていたくせに。
思わぬ形で欠点を突きつけられ、口に砂利が入ったような嫌な気持ちになった。なにも今じゃなくていいじゃないか。
私が奥歯を噛み締めている間にもふたりの会話は続いていく。
「他にもこの曲とか話題になってるっぽい。なんかパクられてるって今騒がれてる、とか?」
「まじか。大変そう」
「んね」
冷たい手で触られたかのように、胸のあたりがヒヤリとした。
まさかパクリ疑惑のことまで知っているなんて。
梨々花はSNSを拠点とするシンガーソングライターに詳しい方ではない。にもかかわらず知っているということは、つまり――スピカが、メジャーになりつつあるってこと?
その可能性に行き着いたけれど、すぐになかったことにした。そう思いたくなかったから。
幸いスピカの話題はここで終わり、別のものへと切り替わったが、それでも私の心が晴れることはなかった。
ふたりの中でスピカが共通認識になってしまった。
その事実が薔薇の棘みたいに私にまとわりつく。
もし私がいるときにこの話をされていたら、私は上手く笑えただろうか。



