星屑の唄【期間限定公開】

 タタタタと爪が画面を叩く音がした後、スピカの曲が流れ始めた。それが耳に届いたとき、身体が強ばるのがわかった。

『きみにとっては二番目でも』

 スピカが初めてバズった曲。イントロすら聴きたくないのに。忌々しい。虫酸が走る。

 そんな私とは裏腹に、美波も「私も雰囲気好きかも」とこの曲を褒めた。「でも」


「歌詞よくよく聴くとやばくない? 浮気相手の曲じゃん」


 ――!!!


 先ほどとは違う理由で顔を上げそうになった。美波の言葉に今までにないほど共感したからだ。対して梨々花は言う。


「そこはないなーって思うけどやっぱ雰囲気好きだからちょいちょい聴いちゃうんだよね〜」


 ――あぁ。

 彼女の言葉でスピカの曲がバズった理由がストン、と腑に落ちた気がした。

 "雰囲気"とは音楽を構成する要素のひとつだ。

 以前見たあの曲のコメント欄には歌詞に共感したりスピカを賞賛したりするものが多く寄せられていたが、あれらは氷山の一角にすぎなかったのか。いや当たり前か。私だって好きな曲すべてにコメントを書き込んでいるわけじゃない。

 だとしたら彼女にあって私に足りなかったものは、なにもファンの数やバックグラウンドだけじゃなかったのかもしれない。