「それは初めだけで、気づいたときには曲に惹き込まれてたよ」
顔を上げたら黒い猫目と目が合った。日本人には珍しい、真っ黒な瞳。
チカチカする。瞬きする度に音があふれてきて、呑み込ませそうになる。
もしかしたら私はその言葉が欲しかったのかもしれない。
「よかった。……ありがとう、月城」
ステラはもうひとりの私だ。
私の剥き出しの創作だけを抽出した至極純粋な存在。
対して私は創作以外のいろんなものを含んだ不純物に過ぎない。
だから私はステラではあるが、ステラは私ではないのだ。
それにもかかわらずステラの曲の中に私が混ぜられることが我慢ならなかった。
でも月城は純粋に曲に惹き込まれてくれた。
――あぁ、なんだ。ステラにもちゃんとファンがいたんだ。
胸を撫で下ろす私をやさしく見下ろす月城を見ながらそう思う。
ステラとして活動してきた5年。
私のやってきたことにも、ちゃんと意味はあった。
それを月城が証明してくれた気がした。



