俯いているせいでわからない。でも確かめる勇気もない。
眼下にあるローファーにひかりが反射する。まぶしくて目眩がした。ちゃんと地面に足をついて立てているのかわからなくなって脳みそがグラつく。
薄い息を吸ったり吐いたりしながら、ややあってそこに言葉を乗せる。
「ステラが私って知った後も曲聴いてくれたんだよね」
「? そりゃもちろん」
「そのとき、私のこと思い浮かんだ……?」
月城が返答に困っているのをわずかな空気の揺れから察した。自分から言い出したくせに、答えを聞くのが怖くて慌てて言葉を重ねる。
「私としてはさ、曲聴くときは曲だけに集中して欲しいの。だからXでも極力自我を出さないようにしてるわけで……、ごめん、うまく言えないんだけど……」
これが油絵なら上手くいっていたんだろうな、と思った。油絵は絵の具を重ねながらひとつの作品を創りあげていくものだから。
それにひきかえ、言葉は重ねれば重ねるほど本当に伝えたかったものがあやふやになっていく気がしてならない。
月城はしばし考える素振りを見せたあと、そっと口を開いた。
「正直、夜野のことを考えなかったといえば嘘になる」
夏の侘しさを集約したような声。
やっぱり私の不安が当たったかと失望する傍らで、彼は「でも」と続けた。
眼下にあるローファーにひかりが反射する。まぶしくて目眩がした。ちゃんと地面に足をついて立てているのかわからなくなって脳みそがグラつく。
薄い息を吸ったり吐いたりしながら、ややあってそこに言葉を乗せる。
「ステラが私って知った後も曲聴いてくれたんだよね」
「? そりゃもちろん」
「そのとき、私のこと思い浮かんだ……?」
月城が返答に困っているのをわずかな空気の揺れから察した。自分から言い出したくせに、答えを聞くのが怖くて慌てて言葉を重ねる。
「私としてはさ、曲聴くときは曲だけに集中して欲しいの。だからXでも極力自我を出さないようにしてるわけで……、ごめん、うまく言えないんだけど……」
これが油絵なら上手くいっていたんだろうな、と思った。油絵は絵の具を重ねながらひとつの作品を創りあげていくものだから。
それにひきかえ、言葉は重ねれば重ねるほど本当に伝えたかったものがあやふやになっていく気がしてならない。
月城はしばし考える素振りを見せたあと、そっと口を開いた。
「正直、夜野のことを考えなかったといえば嘘になる」
夏の侘しさを集約したような声。
やっぱり私の不安が当たったかと失望する傍らで、彼は「でも」と続けた。



