私が幻想に惑わされるうちに梨々花が歌い終わり、マイクが私へと渡る。
人前でちゃんと歌うのは、確か、月城の前で叫ぶみたいに歌ったあの日以来だ。
あぁ、ダメだ。思い出すな。思い出したら――。
「……あ、ごめ」
涙が。
大粒のそれが、瞬きするたびにぽつ、ぽつ、と生まれ、ガラスの上を滑る雨みたいに頬を伝って流れ落ちる。
「ごめん……」
早く泣き止まなきゃと思うのに、涙は止まるどころか、今度は嗚咽が漏れた。
「心星!? どした? どこか痛い? 風邪ぶり返した?」
梨々花が私をやさしく抱きしめ、美波が隣に来て手を背中をさすってくれる。
「心星。大丈夫。落ち着いて」
「ぅん……」
ふたりともわけがわからず困惑しているはずなのに、そんなことお首にもださず私に寄り添ってくれるから、申し訳なさと安心感が綯い交ぜになって、もっと涙が溢れてきた。ふたりはずっととなりにいてくれて。少し呼吸が落ち着いてきたところで、美波が遠慮がちに私の目を見つめた。
「答えにくかったら答えなくていいんだけど……心星、月城くんと何かあった?」
人前でちゃんと歌うのは、確か、月城の前で叫ぶみたいに歌ったあの日以来だ。
あぁ、ダメだ。思い出すな。思い出したら――。
「……あ、ごめ」
涙が。
大粒のそれが、瞬きするたびにぽつ、ぽつ、と生まれ、ガラスの上を滑る雨みたいに頬を伝って流れ落ちる。
「ごめん……」
早く泣き止まなきゃと思うのに、涙は止まるどころか、今度は嗚咽が漏れた。
「心星!? どした? どこか痛い? 風邪ぶり返した?」
梨々花が私をやさしく抱きしめ、美波が隣に来て手を背中をさすってくれる。
「心星。大丈夫。落ち着いて」
「ぅん……」
ふたりともわけがわからず困惑しているはずなのに、そんなことお首にもださず私に寄り添ってくれるから、申し訳なさと安心感が綯い交ぜになって、もっと涙が溢れてきた。ふたりはずっととなりにいてくれて。少し呼吸が落ち着いてきたところで、美波が遠慮がちに私の目を見つめた。
「答えにくかったら答えなくていいんだけど……心星、月城くんと何かあった?」



