「でも、いいね。ああいうのも」
「……」
音はひとりで紡ぎたい。
これは依然として変わらないが、目の前の人に自身の音をぶつけにいく彼らが、今やもう懐かしい、小さい頃に感じていたあの夏の清々しさに似ていると思った。
彼らの演奏が終わり、観客が拍手を送っているのを見届けると、斜め上の月城に視線を滑らせた。
「ね、月城」
「なに?」
「前に委員会1人で行ってくれたときあったじゃん。そのとき別れ際くらいにしれっとステラって言わなかった?」
「えっ、それ今掘り返す? ていうか聞こえてたの?」
頷いて肯定してみせると、月城は恥ずかしそうに「誰にも聞こえてないって思ったから言ったんだけど……」とこどした。
唐突に思い出したことを口にしただけで全くそんなつもりはなかったが、思いがけずさっきの反撃ができたようだ。私だけが照れるなんて割に合わない。
「あのときのお礼まだしてなかったよね」
頑なに受け取ってくれなかったし、と月城に倣って付け足すと、バツが悪そうに顔を逸らされた。
「何食べたい? 射的とかヨーヨー釣りとかでもいいよ。1個だけ奢ってあげる」
「いやいいよ。申し訳ないし」



