教室に入り自分の席につくと、
後ろの席のクラスメイトの子達の会話が自然と耳に入ってきた。
「先週のなぎふぅ実況みた?」
えっ。
そのワードにピクリと肩が揺れる。
「みたみた!ナギくん安定のかっこよさだったよね!優しいし、紳士的だし」
「ねー!!ナギくん本当に推せる。
フウちゃんも、可愛かったよね」
「うんうん!」
「……っ」
思わず息を呑んだ。
こんな身近に自分達の配信をみてくれてる人がいることに嬉しいのと同時に、胸の奥が変にざわつく。私達は身バレ防止のために顔出ししていないからだ。
「それにしてもさー」
「……?」
「ナギくんの声って、特理クラスの早瀬くんに似てない?」
「早瀬くん……?」
「ほら、入学式の時、一年生代表挨拶してた子」
「……あっ! あの綺麗な男の子?」
えっ!?
その言葉に、心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいどきりと跳ねた。
そのまま、相槌を打っていた子が続ける。
「てか、名前も一緒だよね? 早瀬凪くん」
「そうなの……!偶然かな?
てか、もしかして……本当にナギくんって、早瀬くんだったりして」
そこまで聞いて、ドクドクと鼓動が早まる。
どうしよう。ナギが凪だってバレたら。
会話に入って誤魔化す?いや、それもそれで怪しいよね?そのまま聞き流しておく?
頭の中をフル回転させて、次どう動くべきかを考えていたその時。
「まーでも、それはないか」
「え?」
「だって早瀬くんって……無愛想だし、怖い感じの人だよって特理に通ってる友達が言ってたから。話しかけても、『何?』って冷たく返されたって」
「えっ、そうなの?」
「うん。ナギみたいに、柔らかくて穏やかな感じの子じゃないみたい」
「へー?」
「真逆の性格なんだって」
「そうなんだ」
「――…っ」
交わされる会話はナギを凪だと特定するものじゃなくて、むしろ“違うよね”ってなってて。
ホッとする内容のはずなのに。
『――だって早瀬くんって、無愛想だし、怖い感じの人だよって特理に通ってる友達が言ってたから』
その言葉に、胸がギュウっと締め付けられる。
違うよ。凪は口調も態度も悪いだけで、
本当はすごく優しいんだよ。
怖くなんてない。凪は、良い奴なんだよ。
だから――
“ 本当の凪をみて ”
そう言いたい。言いたいのに。
『――アンタが始めさせた仮面を、壊すの?』
心の奥から、聞こえる自分の声。
『それで、凪が嫌われたら?傷ついたら?また、心を塞ぎ込んだら?どうするの?』
「……っ」
脳の奥から耳元に囁くように響く。
喉が詰まったようになる。
『アンタが、ナギを偽らせたから、逆に凪を苦しめてるんだよ』
「……っ」
違う違う違う。
私はそんなつもりじゃなかったの。
違う。違うの。
私は、ただ――
ただ、凪に笑って欲しかっただけなの。
そこまで思った時、
「みんなー!席についてー。
ホームルーム始めますよー」
担任の先生が教室にきた。
その瞬間、自分が息を止めいてたことに気づく。ゆっくり深呼吸して、鼻から空気を身体に送る。
けれど、心臓はまだドクドクしたままで。
なかなか治ってはくれなかった。
後ろの席のクラスメイトの子達の会話が自然と耳に入ってきた。
「先週のなぎふぅ実況みた?」
えっ。
そのワードにピクリと肩が揺れる。
「みたみた!ナギくん安定のかっこよさだったよね!優しいし、紳士的だし」
「ねー!!ナギくん本当に推せる。
フウちゃんも、可愛かったよね」
「うんうん!」
「……っ」
思わず息を呑んだ。
こんな身近に自分達の配信をみてくれてる人がいることに嬉しいのと同時に、胸の奥が変にざわつく。私達は身バレ防止のために顔出ししていないからだ。
「それにしてもさー」
「……?」
「ナギくんの声って、特理クラスの早瀬くんに似てない?」
「早瀬くん……?」
「ほら、入学式の時、一年生代表挨拶してた子」
「……あっ! あの綺麗な男の子?」
えっ!?
その言葉に、心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいどきりと跳ねた。
そのまま、相槌を打っていた子が続ける。
「てか、名前も一緒だよね? 早瀬凪くん」
「そうなの……!偶然かな?
てか、もしかして……本当にナギくんって、早瀬くんだったりして」
そこまで聞いて、ドクドクと鼓動が早まる。
どうしよう。ナギが凪だってバレたら。
会話に入って誤魔化す?いや、それもそれで怪しいよね?そのまま聞き流しておく?
頭の中をフル回転させて、次どう動くべきかを考えていたその時。
「まーでも、それはないか」
「え?」
「だって早瀬くんって……無愛想だし、怖い感じの人だよって特理に通ってる友達が言ってたから。話しかけても、『何?』って冷たく返されたって」
「えっ、そうなの?」
「うん。ナギみたいに、柔らかくて穏やかな感じの子じゃないみたい」
「へー?」
「真逆の性格なんだって」
「そうなんだ」
「――…っ」
交わされる会話はナギを凪だと特定するものじゃなくて、むしろ“違うよね”ってなってて。
ホッとする内容のはずなのに。
『――だって早瀬くんって、無愛想だし、怖い感じの人だよって特理に通ってる友達が言ってたから』
その言葉に、胸がギュウっと締め付けられる。
違うよ。凪は口調も態度も悪いだけで、
本当はすごく優しいんだよ。
怖くなんてない。凪は、良い奴なんだよ。
だから――
“ 本当の凪をみて ”
そう言いたい。言いたいのに。
『――アンタが始めさせた仮面を、壊すの?』
心の奥から、聞こえる自分の声。
『それで、凪が嫌われたら?傷ついたら?また、心を塞ぎ込んだら?どうするの?』
「……っ」
脳の奥から耳元に囁くように響く。
喉が詰まったようになる。
『アンタが、ナギを偽らせたから、逆に凪を苦しめてるんだよ』
「……っ」
違う違う違う。
私はそんなつもりじゃなかったの。
違う。違うの。
私は、ただ――
ただ、凪に笑って欲しかっただけなの。
そこまで思った時、
「みんなー!席についてー。
ホームルーム始めますよー」
担任の先生が教室にきた。
その瞬間、自分が息を止めいてたことに気づく。ゆっくり深呼吸して、鼻から空気を身体に送る。
けれど、心臓はまだドクドクしたままで。
なかなか治ってはくれなかった。
