配信終了後、幼馴染実況者の本性が悪すぎる

その後。

「――これとかどう?」

「ん?」

学校の最寄駅で電車を降り、駅を出たところで、凪がスマホを見せてきた。

歩きながら、少し肩を寄せて覗き込むと、
画面には、可愛らしいドット絵の2Dホラーゲーム。
タイトルは、『ゆめうさぎのナイトメア』
脅かしよりも、ストーリーと謎解き要素メインのホラゲーだった。

可愛らしいけどちょっぴり不穏な白と黒のウサギのぬいぐるみらしきキャラが、ぴょんぴょんしてる。
それは、本当にホラゲーなのかと疑いたくなるくらい、ファンシーな雰囲気だった。

「可愛い……!」

「いや、始めの感想それかよ」

「いい感じ!」

「語彙力皆無だな」

呆れ顔の凪。
けれど、私が見やすい角度でスマホを傾けてくれる。口は悪いくせに、こういうさりげないところは優しい。

「これ、いいと思う。可愛いし」

「さっきから可愛いしか言ってねーな」

仕方ないでしょ。
可愛いもんは可愛いんだから。

「じゃあ、次これに決まりで」

「うん……!」

そんな会話をしているうちに、学校に着いた。
靴箱へローファーを入れていると、

「そういや……」

「……?」

「ばあちゃんが、明日夕飯食いに来ねーかって聞いてた」

隣で凪が、上履きを取り出しながらボソッと聞いてきた。

「え! おばあちゃんが!?」

私はパッと顔を上げた。

「行きたい……!」

思わず弾んだ声で二つ返事でそう返す。
そんな私の反応に凪が一瞬だけ目を丸くした後に、ふっと、吹き出した。

「反応早え」

「だって……!おばあちゃんのご飯大好きなんだもん!美味しいし。優しい味がするから」

「……ふ。本人に言ってやってくれ。喜ぶから」

「うん……!」

満面の笑みで返す。
おばあちゃんのご飯楽しみ……!!
ワクワクで頬を緩ませていると、教室についた。

「じゃあ、凪またね」

「ああ」

そして、各々別の教室に入っていく。

高校に入り、ついに凪とクラスが離れた。
私達の通う高校は、高一からコースが別れているため、選択するコースが違えばクラスも違うのはまあ必然と言えば必然だ。

凪は特進理系コース。
私は、普通科コース。

進学校ではあるけれど、特進理系コースはその中でも別格の秀才クラス。
凪は、顔も声も良いくせに、頭までめちゃくちゃ良い。
けど、何も努力してないわけじゃない。
ちゃんと勉強もするし、授業だって真面目に出てる。その姿を、隣で見てきた。

ずっと前に、
『ばあちゃんにだけは迷惑かけたくねぇ』
そう言っていた凪の横顔が、今でも頭に残ってる。凪は、この高校の学費も配信で稼いだお金で払ってる。案外家族思いの奴なのだ。