配信終了後、幼馴染実況者の本性が悪すぎる

スクロールしながら、始めの方からコメントを読んでいく。

《なぎふぅ大好き》
《ナギくんイケボすぎる〜〜》
《ふたりのかけ合いおもしろい》

沢山の好意的なコメントに、口元が緩む。

その中で。

《フウのプレイングって、みてて本当イライラする》
《ナギの足引っ張るな》
《ナギひとりで進めた方がはやくない?》

そんなコメントもちらほらある。

けれど、私は気にとめることなく次々とスクロールしていく。

基本的には優しいコメントばかり。
けれど、棘を含んだコメントももちろんあって。そのひとつひとつに目を通していく。

そして、全て確認した後――

「よかった……」

無意識に声が漏れ、ホッと胸を撫で下ろす。

凪への露骨なアンチコメントがなかったことに。

もちろん全くゼロではない。
たまに見かける。
けど、大体は、

《ナギ、完璧すぎて逆にこわい》とか、
《攻略理解早すぎ。初見じゃないんじゃないの?》

とか、粗を探すものばかり。

ナギそのものを否定するコメントはなかった。

そのことにどうしようもないほど安心した。

時計をみると、日付が変わって数時間。

「やば……!もうこんな時間?寝なきゃ……!」

気づけば、コメントチェックに1時間以上かかっていた。
急いで寝支度を整えて、ベッドに潜る。

コメントを見る前は眠くて仕方なかったのに、
チェックをした後は妙に頭が冴える。

《フウのプレイングって、みてて本当イライラする》
《ナギの足引っ張るな》
《ナギひとりで進めた方がはやくない?》

天井をみつめながら、自分へ向けられた容赦ないコメントがふと頭に浮かぶ。
もちろんいい気持ちはしない。
けれど、あまり心へのダメージはない。なんなら、事実ですしと受け入れている。

それよりも。私に向けた棘のあるコメントよりも。

凪に向けられる攻撃的なコメントの方が私は……怖い。それを、凪が見てしまったらって思うと胸の奥がぎゅっとする。

だから、
凪の目に触れる前に、もしそんなコメントがあったら消してしまおうと、毎回こうやって配信後にコメントチェックをしている。

それは、このチャンネルを立ち上げてからずっとやっていることだ。

凪は、知らない。私が裏で、こんなことをやっているなんて。

目を閉じると、あの日の凪が脳裏に浮かぶ。

影を落とした瞳。
伏せられた瞼。
苦しげに発された声。
傷ついた横顔――……

『こんな自分が、嫌いだ』

あの日。心を閉ざしかけた凪が浮かぶ。

「……っ」

思い出すたび心が痛む。

同時に――配信中の“王子様ナギ”の人気が出れば出るほど、
罪悪感で胸の奥がぐちゃぐちゃになりかける。

「大丈夫……」

励ますように自分に言い聞かせる。

凪は、今笑ってる。私の隣で楽しそうに。

だから、大丈夫。
このままで。

作られた姿のまま、続けていって大丈夫。

そう納得させようとする。

でも。ずっと胸の奥で抱え続けている不安は、どうしても消えてはくれなかった。