そこには――
《まだ配信続いてる?!》
《えっ、今の声誰? もしかして……ナギ?》
《口調とか声の感じとかいつもと全然違くない?》
《え、まって……ちょっと怖い》
そんなコメントが次から次へと続いていた。
「え……嘘……!!」
もしかして……まだ配信が終わっていなかった……?
慌ててもう一度配信終了ボタンをクリックする。次は、問題なくクリック出来たようだった。
ちゃんと配信が終了したことを確認する。
――けれど、もう。遅い。
《えっ、ナギって性格作ってたってこと?》
《裏ではあんな感じでフウちゃんに接してるの?こわ…》
《言い方きつかったよね?下手とか、足手まといみたいなこと言ってたし》
次から次へと凪への批評コメントが入っていく。
やだ……だめ……!!
私はすぐに震える手でマウスを動かして、コメント欄をオフにした。
ドクドクと心臓の鼓動が全身に脈打っている。
指先が冷えて、呼吸が浅くなる。
ヘッドフォン越しに、
張り詰めた沈黙が流れる。
さっきまでの楽しかった空気が一気に冷えた。
私はなんて凪に声をかけたらいいかわからなくて、浅い息のまま画面を見つめる。
すると――
『配信……きれてなかった?』
静かな凪の声が聞こえた。
声を荒げることも、取り乱すこともなく、
本当に静かな声。
その瞬間、胸の奥が強く掴まれたようにギュウっとした。
「ご……ごめ……! マウスが……っ」
喉がつまる。視界がかすむ。
ちゃんと配信が終わったか確認しなかったのが悪いのに、
こんな時まで言い訳する自分が心底嫌だって思った。
次に凪にどんな罵声を浴びせられても文句は言えない。
そう思っていた。
――なのに。
『そっか』
凪は。
たったその一言だけを落とした。
それは、先程と変わらず、
驚くほど静かな声で――
「……っ」
私は、すぐに言葉を返せなかった。
だって。
私にはわかってしまったから。
それは、凪が“諦めた時の声”だって。


