おじいちゃんの声で皆はハッと我に返っていた。
そっか。この人たちにも私は自分の厚化粧の顔しか見せてこなかったんだ。
「お、親父……お嬢が……顔が……」
「アニキたちの顔マジウケる! ぎゃははは、何で固まってんの」
「うるせぇキラ! てめぇはさっさと服を着てきやがれ!」
「ぐぇっ」
キラさんが一人で大笑いをしていると、ほかの堂島組の皆さんは薄っすら青筋を立てる。その直後、キラさん頭に鉄拳を食らっていた。
頭の衝撃に涙を浮かべながら、キラさんは頭を押さえて逃げるように居間を出て行く。
どうやらやっと着替える気になったらしい。
「仕方がねぇな、キラのやつは」
おじいちゃんも呆れながら笑っていた。
キラさんが出て行くと、居間には沈黙が流れる。
皆して私の変化に驚いて声が出ないようだ。
それだけ昨日までの厚化粧は酷かったってことですかね。は、恥ずかしい。
いや、現実逃避するな、自分よ。
ここは乗り越えなければいけないことよ。
「お前たち。八重から話しがあるそうだ。耳を貸してやってくれないか」
「……!」
呆然としている皆におじいちゃんは話を切り出してくれた。
私は驚いて、おじいちゃんのほうに振り返る。
また、笑顔で頷いていた。
おじいちゃんは私が堂島組の皆に「謝罪」をしたいと思っていること、すべてお見通しみたい。
「おじいちゃん、ありがとう」
私は畳の上で正座をし、目の前にいる堂島組の人たちに向き直る。
おそらく……いやきっと、これまでこの人たちにも迷惑をかけてきたはず。
そういった記憶が少ないのは、私がそれを大したことだと思っていなかったから。
この人たちに対しての罪悪感がなかったんだ。
なんとも胸の痛い事実。だけどそれが昨日までの私だった。
「堂島組の皆さん」
静まり返った空間に、私の声だけが響いた。
堂島組の人たちは、私の顔をじっと見てくる。
「私がこれまで皆さんに対してしてきた身勝手な態度や言動の数々……今ここで謝らせてください。本当に、すみませんでした」
額が畳に擦れるぐらいの勢いで、深く頭を下げた。



