仕方がないなぁ……。
ふと思い立った私は、小刻みに揺れる襖へと近づく。
「へ? 八重お嬢近づいて来てないか?」
「おいキラ! 後ろに下がれ!」
「えっ、むりむり! 足痺れたしっ!」
「つーかおい……なんかお嬢の顔、違う気が」
スパーン、と。私は襖の引手に手をかけて、一気に左右へ開いた。
身体を支えていた襖が無くなったことにより、聞き耳を立てていた人たちが雪崩のように前に倒れ込んでくる。
着物にイカついスーツ、寝間着や甚平姿など、さまざまな格好の男たちが畳の上に転がった。
ておい。そこの前髪ヘアピンの少年よ。
パンツ一枚とか舐めてるのか!
このパンツ君、上半身裸なので畳に肌が擦れて本気で痛そうだ。服を着なさい。
ちなみに私は男の人の上半身などで真っ赤になる乙女ではない。前世が孤児院育ちだったので普通に耐性がついてしまいました。
「重い、兄貴たち重過ぎ! いてぇっ」
下敷きになっているパンツ君は、大柄な年長組に文句を言っている。
というか、パンツ君の名前が全然思い出せないんだけど。会話した記憶すら頭にない。
今までの私は堂島組の人たちをなるべく視界に入れないように生活していたので、パンツ君を含めてほとんどの人の名前を覚えていなかったんだ。



