畳から顔を上げると、おじいちゃんは、優しく微笑んでいた。
……ああ、こうやって。
おじいちゃんの顔を見たのも久しぶりだ。
「大きく、なったんだなぁ」
「……っ」
皺を多く刻んだ温かい手のひらが、私の頭をゆっくり撫でる。
その瞬間、胸の奥がほっとした心地になった。
にこにこしながら私の頭を撫でてくれるおじいちゃん。その目は完全に孫を大切にする優しいもので。
それはずっと感じていた私の罪悪感を緩めてくれた。
「自分で謝ることが出来るのなら、もう八重は大丈夫だ」
私自身に何があったのかは聞いてこない。
魂が蘇ったなんて、絶対に考えようのないことだけど。
おじいちゃんはまるで見透かしたようだった。
「……お、おい! 押すなってっ」
「お前こそっ、何で野郎同士でくっつかないといけねぇんだ!」
「お前らうるせぇぞっ、組長とお嬢に聞こえちまうだろ!」
後ろの虎と龍の絵が描かれた襖から、ガタガタと物音が聞こえてくる。
……いやいや、全部聞こえてるってことを突っ込んでもいいのかな。
いつの間にか、ほかの家族から覗き見されていたみたい。
私とおじいちゃんはとっくに気づいているのだけど、向こうはそうとも知らずヒソヒソと話している。
「あれで気づかないとでも思っているのか、あいつらは」
「本当に」
おじいちゃんの呆れた顔に、私は同意の笑顔を浮かべた。



