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私はビルを出ると、車を探して辺りを見回した。
あれから2時間と少し経っただろうか。
少し待たせすぎたのかもしれない。
「あれ…」
だって『待ってる』と言った車が、ない。
どうしよう。
連絡しようにも手段がない。
連絡先を知らなければ、そもそもスマホも持ってない。
歩いてAnBarまで帰っちゃう?
でも道のりがわからないし。
さて、困った。
と立ち尽くす私の肩に、とんとん、と二の腕を突かれた。
「おねーさん、おねーさん」
にっこりと笑う、男性。
誰だろう?
「いきなりごめんね。ちょっといい?」
「はい」
もしかして紫藤怜の知り合い?
「仕事探してない?いいとこ紹介できるんだけど」
なんて思ったけど、全然違った。
「……仕事なら大丈夫です」
「そっかぁ。TIPSの系列誘えるんだけど」
「TIPSとか知りませんし」
「え?知らない?」
「はい……」
「余所者なの?」
そう言われて、しまった、と思った。
余所者と知られることはここではあまり良くないことなのかもしれない、と。

