まずは服だ。
コートと靴は最低限ほしい。
仕事にも使えるものがいいな。
あ、あと下着も何枚か。
となると、ファストファッション完結でいくか。
待たせているわけだし、あちこち回っている時間もない。
でも……。
と、手元に目を落とす。
紫藤怜から押し付けられたお金は10万どころか18万もあった。
こんな大金を渡した、その意図を勘ぐってしまう。
するとうろうろする私に声をかけてきた店員がいた。
こんなヘンテコな見た目の私に、よく声をかけてくれたなと感心する。
「そこの訳アリそうなおねぇさん、見ていきません?」
きっとデリカシーのないタイプなんだ。
「これからの予定はぁ?」
「……未定です」
「誰かと出かけてるの?男?女?」
「男です」
そう。
適当な服装でがっかりされても嫌だ。
このあとの予定はわからないけど、せめて少しくらい可愛くはしておいて差支えないと思う。

