「…どこに向かってるんですか?」
そっと尋ねた。
だって、ほら。
もしかしたら、と思った。
身売りとかってこの時代にあり得るのかな。
「買いモン」
だからそれはとっても拍子抜け。
「お前よくンな恰好で歩けたな?女じゃねぇだろそれ」
買い物?
買い物に行くって言った?
買い物ってショッピングだよね。
一緒に?
何しに?
あ、いやだから買い物って言ってるじゃん。
そうじゃなくて。
どうしてこの人が、私を連れて買い物に行くのか、だ。
混乱する私もなんのその。
紫藤怜は涼しい顔をして、ポケットから財布を取り出し、中身を束で抜く。
「上から下まで揃えてこい」
胸元に押し付けられた札束。
目をやれば、余裕で10万以上ある。
「私お金持ってます」
「持っていけ」
「え、でも」
気がつけば車は路肩に停車。
抵抗する私に試合終了の合図みたいにして自動ドアの機械音が鳴った。

