縫合した額の傷。
ユキのおさがりの大きな服と、足元はサイズの合わないスリッパ。
ヘンテコだろうが、紫藤怜に拾われたときよりかうんとマシだ。
「よかったな」
紫藤怜は私の心を読んだみたいにそう言うと、雑にキャップをかぶせて背中を押してくる。
「わ、」
「チンタラしてんな。乗るぞ」
あなたが私の足を止めたのに。
そう思うとなんだか少しおかしくなって、ちょっと笑った。
車に乗り込むと、ミラー越しに多夜と目が合った。
多夜は私を一瞥したあと、隣の紫藤怜に目を移す。
指示を待つ多夜に、「TIPSの前」と告げられた。
無言の車内。
私はやっぱり落ち着かない。
この人は一体何なんだろう。
さっき見てきたシトウの街はとても混沌としていた。
暴力は当たり前、誰も助けない。
おかしな街。
そんな場所で逆らっちゃいけないと言われてるこの人は、どんな恐ろしい人なんだろう。

