余所者-よそもの-



私はすっかり雨を吸い込んでずっしりと重たい上着を脱ぐと、廊下で順番待ち。


しん、と静かな空間にやっと一人。
もたれかかった壁に重力に任せ力を抜くと、ズルズルとその場にしゃがみ込んだ。


「――疲れた…」


どうして彼はシトウに居たんだろう。
もしかして私と別れたあの日からずっとこの街に居た?

だとすればもう一か月以上経つ。

どこで寝泊りをしてるんだろう。
仕事は休んでるのかな。
長期休暇を簡単にくれるような会社ではないはずだけど。


廊下に漏れていたシャワーの音が止む。

たちまちバスルームの扉が開いて、上半身裸のユキが頭にタオルを乗せたまま出てきた。


「服、着てくださいよ……」

ユキと交代してバスルームに入ろうと立ち上がろうとしたけれど、ユキを見ないようにと落とした視線の先、風呂上がりの熱を帯びた足が私の前でピタリと止まった。


「で?誰に追われてたの?」

「………」


そうきたか。

てっきりお互いシャワーを浴びてスッキリしてから話すもんだと思ってた。


奇しくも壁際に追い込まれた恰好。

ユキは足を抱えて小さくなる私の目の前にどっかりと屈んで、まるでいじめっ子といじめられっ子の様相。


もちろん話すし。

……ただ、服を着てくれないかな。
目のやり場に困る。