ずぶ濡れの私たちは、傘もささずにひたすら歩いた。
入り組んだ路地の奥を抜け、大通りに出るとターミナルがあった。
これが前にサンコンが言っていた、シトウの東にある駅か。
その地下の駐車場で、ようやくユキの車を見つけた。
ずっと張り詰めていた周囲への警戒が解けて、一気に安堵が押し寄せる。
運転席に乗り込むユキ。
だけど私は簡単には乗れない。
助手席の窓が開き、ユキが奥から声をかけてきた。
「乗らない選択肢があるのか」
いや、そうなんだけど。
……なんせ、ずぶ濡れでして。
ジェスチャーで訴えると、呆れた顔をされる。
「俺も同じだから」
申し訳ないな、と思いつつ。
乗らない選択はユキの言う通りなかったので、なるべく髪からこぼれる雫を車内に散らかさないよう、小さくなって助手席に滑り込んだ。

