「ねね、ちょっと遊び行かない?」
「行きません」
「メシおごるしさ」
食い下がる男は肩に下げるショップバッグに手をかけてきた。
「止めて、引っ張らないで」
まじで破けちゃうから!、と焦る私に、助け船が出る。
「何してる」
ポケットに手を突っ込み、前から歩いてきたのは……多夜。
後ろを向いていた男は声のかかった前を振り向きながら「ああ!?」と苛立つように声を上げた。
「なんだ」
「……ぁ、え?なん…多夜…」
「なんだ」
男は多夜を見るなり、それまでの態度が嘘だったみたいに小さくなった。
「いえ……すみません、知らなくて、その」
そうしてあたふたとわかりやすくテンパると、手にかけていた私のショップバックをひっかけて、とうとう袋を破った。
バサバサと落ちる中身。
何してくれてるんだ、と文句の一つでも言ってやろうと思ったけれど、そんな暇はなかった。
「拾え」
多夜に背中を蹴られ、跪いた男。
さらにお尻を蹴られると、地面にへばりつく格好で倒れた。
ひいひいと声を上げて動けない男に、多夜は「もういい」ともう一撃を食らわせ、
「女。さっさと拾え」
と顎で指示をする。
結局私かよ。
私はせっせと落ちた服を袋に集めてから、歩きだした多夜の背中を追った。

