尊い推し兄弟に愛されてます!?

「でも玲央くん一人で……」

「平気」

そう言って立ち上がると、私の頭をぽんっと撫でた。

「ちゃんと戻れよ」

「……うん」

そう答えたものの、やっぱり心配だった。

玲央くんが屋上の入口へ向かう。

私は配管の陰から、そっと様子を見守った。

すると数秒後。

「え!?玲央くん!」

「こんなとこで何やってんの!?」

三年生の女子が四、五人ほど屋上へ入ってきた。

みんな玲央くんを見るなり笑顔になる。

「あー……ちょっと外の空気吸いに?」

先輩たちが目を輝かせている。

「そうなの!?こんなとこで会えるなんてラッキー!」

「お昼一緒に食べよーよ!」

玲央くんは一瞬だけこちらへ視線を向けた。

――行け。

そう言われた気がした。

でも……足が動かない。

すると玲央くんは、いつものモデルみたいな爽やかな笑顔を浮かべた。

「あー、じゃあ中庭行きます?ここバレたらやばいし」

それに対して黄色い声が上がった。

「えっ、いいの!?」

「やったー!」

先輩たちは一斉に玲央くんの周りへ集まる。

「玲央くん今日もかっこいいー!」

「ねぇねぇ、腕組んでいい?」

「写真撮ろ?」

楽しそうな声が響く。

その中の一人が、自然に玲央くんの腕へ抱きついた。

ドクン。

胸が痛んだ。

また別の先輩は肩へ手を回して笑っている。

玲央くんは困ったように笑いながら、それでも嫌な顔一つせず歩き始めた。

……私のため。

私を守るため。

そうだってわかってる。

わかってるのに。

胸の奥が、ちくっと痛んだ。

嫌だ……。

そう思ってしまった。

あんなに近くにいるのも。

触られているのも、全部。

「私……」

嫉妬してる。

そんな自分が少し嫌だった。

玲央くんたちの姿が階段の向こうへ消えたのを確認してから、私は静かに屋上を後にした。