尊い推し兄弟に愛されてます!?



二時間目が終わり、休み時間。

廊下へ出ようとすると、

「村瀬さん」

後ろから声を掛けられた。

「佐伯くん」

「ちょっといい?」

「うん」

二人で廊下の窓際まで歩く。

少しだけ沈黙が流れた。

先に口を開いたのは佐伯くんだった。

「昨日さ」

「あっ……」

昨日のことを思い出す。

校門で突然玲央くんが迎えに来て、そのまま話は途中になってしまった。

佐伯くんは少し緊張した面持ちで、照れくさそうに笑う。

「……夏祭り、一緒に行かない?」

やっぱり……。

そういう話だったんだ。

私はゆっくり息を吸う。

「……ごめん」

その一言で、佐伯くんは少しだけ目を伏せた。

だけど、すぐに優しく笑う。

「村瀬さんって……好きな人いる?」

私は静かに頷いた。

「うん……」

「そっか」

少しだけ空を見上げる佐伯くん。

その横顔は少し寂しそうだった。

「その人とうまくいきそう?」

名前は聞かない。

誰なのかも聞かない。

その優しさが胸に刺さる。

「……うん」

私は小さく笑った。

佐伯くんは少しだけ黙ったあと、

「なら応援する」

と笑った。

「ありがとう……」

「でもさ」

佐伯くんは少しだけ照れ笑いを浮かべる。

「その人が村瀬さん泣かせたら、その時は俺が怒りに行くから」