尊い……。
今日も、朝から尊い……。
私は電柱の影から、少し離れた場所を歩く二人を見つめながら、そっと胸を押さえた。
朝日に照らされる黒髪。
並んで歩くだけで絵になる。
完璧な兄弟――。
兄・橘玲央。
弟・橘柚希。
この学園で、橘兄弟を知らない人はいない。
「……朝から何やってんの、あんた」
呆れた声が隣から飛んでくる。
振り向けば、親友の深谷美月(ふかたにみづき)が冷めた目でこちらを見ていた。
その横では、同じく親友の澤井(さわい)ひまりがスマホを握りしめながら興奮している。
「待って待って!!今日の橘兄弟ビジュやばくない!?朝日が公式演出してるんだけど!!」
「わかる!!」
私は勢いよく頷いた。
「見てよあの距離感!!自然に並んで歩いてるだけで尊いとか何事!?」
「生徒会長が朝から何言ってんの……」
美月がため息をつく。
私はすぐさま反論した。
「いや!?みんなの憧れだよ!?橘兄弟は!!」
「はいはい」
「玲央くんはモデル活動もしてるし、ゆずくんも最近人気急上昇だし、SNSのフォロワー数なんて、この前十万人突破したみたい!」
ひまりが興奮気味に言いながら雑誌を取り出す。



