Fahrenheit -華氏- Ⅲ


♠ K ♠


昨日の事故から一夜明けた。ホテルもチェックアウトしたが、しかし車はレッカーされてディーラーにいかないと代車も手に入らない状態。しかも事故を起こしたから精密検査に来いと病院側に言われたからな。ディーラーは後回しか。


仕方なしに俺は昨日の恰好のまま病院に向かった。


昨日の傷の手当をもう一度された後は血液検査、レントゲン、MRI等を受け午前一杯かかったが検査結果異常なしだと分かった。


一つだけ言うと肝臓の数値が少し悪いというだけだが、あとは健康そのもの!


俺ってホント悪運強いな……なんて感心してる場合じゃない。


これからまだやることがある。


瑠華から提案されたことだ。


俺は携帯を取り出すと緑川にメールを送った。


二村がファックスを送ったという事実を自ら認めさせるためには緑川の協力が必須らしいからな。


緑川にはあらかじめ俺のパソコンのフリーメールから俺のメモリの名前を変えるよう指示してある。フリーメールだからスルーされるかもしれないと思ったが、緑川はそれに気づいて指示通りにするよう返信をしてくれた。


内容はこうだ。


俺は緑川の女友達を装って、『彼氏を紹介したいからカフェでお茶して会ってくれないか。今までダメ男ばかり引っかかってばかりだたから見て欲しい』と。


緑川は俺のメールを待っていたのだろうか。すぐに返事が帰ってきた。


通常なら二村がいるだろうが、何か言い訳してきたんだろうな。俺が指定したカフェ……それも二人だけが分かる嘘の場所を指定したが、緑川一人でそれほど待たずにすぐに表れた。


淡いピンクのコートを寒そうに合わせて緑川は息を切らしていた。


「二村くん一緒に来るってしつこくって。でも大事な友達だからまずはあたし一人で会ってくるって何とか言い訳して」緑川は苦い顔を造った。


「そっか、悪かったな」俺も思わず苦笑。


すでにカフェについていた俺はホットコーヒーを頼んでいたが、緑川はミルクティーを頼んだ。


「二村くんの前でカフェイン摂取できないから」緑川は悪戯っ子のようにちろりと舌をちろりと出す。


そうだったな、二村の前では妊婦のフリをしなくちゃならないからな。それも色々大変だ。


こいつも苦労してるんだな。