「ジェシカは確かに子供を取り上げてマックスとあんたを別れさせたいかもしれないけど、マックスの方は今度はそう言うわけにはいかないと思うわよ」
「Why?」
と眉間に皺を寄せると
「あんたにしつこく復縁を迫ってる理由もなんとなくわかったし」
「だから何でって」
「あいつのプライドからして腹違いの姉弟って考えられないでしょ。それに復縁したのにまた二回目の離婚とか体裁が悪くて外を歩けないんじゃない?アレはああゆう男よ。大体跡取りのことを考えてるんならジョシュの女に産ませればいいのにね」と心音が無表情に言ってグラスに口を付ける。
心音の顔に―――表情と言う表情が浮かんでいなかった。まるでお風呂のお湯できれいに落としてしまったかのように。
ジョシュのことは……マックスから聞いてないのだろうか。
完全なる仮面夫婦で、奥さんのこと飾り物だとしか考えてないって……
ジョシュの中ではやっぱり今でも心音が君臨している。それは絶大な存在で、絶対的。
――――とは言えなかった。
いたずらに心音を動揺させるのはよくない。きっと心音の方にもまだジョシュの存在が大きくある筈。
それにしても、心音はあたしよりマックスのことよく知ってるみたいだ。まぁあたしより付き合い長いしね。
「何よ、何か言いたそうな顔ね」と心音がまばたきをしてあたしを見てくる。あたしはゆっくりと顔を横に振り
「ううん、こないだのオークションの件ありがとう。心音のまさに迫真の演技でみんな騙されてたわ」と強引に笑うと
「女優になれるかな」と心音がにやりと笑う。「でもちょっと相手がヴァレンタインだったらって意識したらチョロかったわ」
ははは、と心音は明るく笑う。さっきの無表情からいつもの心音に戻った。
「あたしもヴァレンタイン相手と思って演技したわ」とちょっと笑うと
「あんたも迫真の演技だったじゃない」と心音はあたしの胸に手を伸ばしてきて予告もなくもみ下してきた。
「ちょっと!何するのよ」と目を吊り上げると
心音はちょっと首を傾け「痩せたと思ったのに胸大きくなったんじゃない?」
「はぁ?そんなわけじゃないじゃない」
「まさかケートと何かあった?」と心音はちょっと下卑た笑みを浮かべシャンパングラスを手に取る。
まさか……啓とキスをした……とは言えずあたしはちょっと顔を伏せ湯に顔を半分浸からせた。



