「でも、あんたがユーリの手を振り払ってでも病院に駆け付けたとはねぇ」と心音は何か面白いものを見るように目を三日月形に細めた。
「な…何よ、母親失格とでも言いたいわけ?」
「そうじゃないわよ」と心音はあたしの額を人差し指で軽く押す。「あんたも女だったかぁ、って思うとちょっと嬉しくて」
女…?
「だって愛するオトコの為に大事なものを置いてまで駆けつけたんでしょ。あたしはその変化が嬉しいの」
変化……
「でもさー、正直ケートのどこがいいわけ?まぁ面白いし頭も顔も悪くないけど」
「どこがって……」あたしはちょっとだけ泡立った湯に沈み込むと
「………安心するの。あの人だけよ、あたしの全てを包み込んで受け入れてくれたのは。あたしの汚い過去や醜い現実を。あたしのこの可愛くない性格だって」
あはは!と心音は笑い声をあげると「確かにマックスと別れてからあんた可愛くなくなったわよね」と肩を震わせている。
「悪かったわね、可愛くなくて」お湯をパシャリと払ってやると心音はそれを器用によけながら、あたしの頬をそっと撫でながら
「言ったでしょう?あたしは嬉しいんだって。ユーリのこと大切にするあんたは母親でステキだけど、女のあんたは―――
可愛い」
か、可愛い……!?
「で?マックスの方は相変わらず?やり直そうって?」
もう三杯目のシャンパンを飲みながら心音が目を上げる。
「それしかないじゃない。あの男も何を考えてるんだか。まぁ考えてることの少しは分かったけれど」
あたしは復縁して二人目を作らないかと言う話を心音に話聞かせた。
「どうせ、万が一億が一そう言うことがあってもどうせあたしは使い捨てよ。ジェシカに子供を奪われてオシマイ」
軽く肩を竦めると
「なるほどねぇ」と心音が目を細めた。



