Fahrenheit -華氏- Ⅲ


あたしは電話に出ると


「心音、昨日はどういうつもり……」と言いかけてコホン小さく咳をした。葵さんはあたしが車を出すのを待っていてくれているのだろう。


「Speaking in English. Why did you call Max over? And July too...
(英語で話す。何でマックスを呼び寄せたのよ。それにユーリも)」


ちょっと語気を強めると


『誰かいるの?会話を聞かれたくない人が。まさかケート?』


「Yes,He's just an acquaintance. Kei can understand English to some extent, so we don't need him, do we?
(違うわよ。ちょっとした知人。啓はある程度英語聞き取れるから必要ないでしょ)」


『それもそっか。でもマックスの件はあたしから提案したわけじゃないわよ。あいつ(マックス)がユーリを連れてくって前々から聞いてたの』


「But even so, it would have been nice if you’d stopped me.
(だからって、止めてくれたって良かったじゃない)」


『何の権利があって?あんただってユーリに会いたかったでしょ?』


あたしの早口の英語を理解できないのか葵さんが微かに首を捻っている。