Fahrenheit -華氏- Ⅲ



「そのことですが、瑞野さんは何故後先考えずあんな軽はずみなことを?大まかなことを部長から聞いていたので知ったのですが」


嘘つけ、瑞野さんのSNSを見て駆け付けてきたくせに。でも……ちょっと…って言うかかぁなぁり、嬉しかったんだんけどね♪


「今は警察が踏み込んでくる、と言う状況で終わりましたが今後部長の身に危険が迫ることは考えなかったのですか?」


淡々とした口調に瑞野さんが肩を縮め目を伏せる。


「空ちゃんは……二村くんはそこまでしないって思ってたから……」


「思った以上にあなたに対する執着が強いようです」


「だって空ちゃんはあたしが部長を好きでも構わないって……」


はぁ


瑠華が分かりやすくため息をついた。


「あなたは二村さんと長く居て本音と建前の違いにも気づかないんですか」


「ちょ、ちょっ…!瑞野さんは仮にも妊娠してるし、そんなこと言ったら…」と俺の方が焦って二人の間に割り込む形に。


何やってンだ俺……


しかし瑠華は反省した様子もなくまたも淡々と


「本当のことを言ったまでです。先ほども言いましたが二村さんがあなたに執着しているのは異常なぐらいです」


ここで瑞野さんがゆっくりと顔を上げた。困惑と言った表情を浮かべている。


「あ……あたし、ちゃんと自分の口から空ちゃんに弁解します。だから部長にはこれ以上何もしないで、と…」


「それは逆効果でしょう」


「じゃぁどうすれば…」瑞野さんの困惑顔がハッキリと困り顔になった。


瑠華は少し考えたのち、


「方法は一つ。自ら認めさせるのです。今回の騒ぎは自分が起こしたこと。そして今後部長に危害を加えないことを」


「そ、そんなことってできるの?」今度は俺が前のめりになって聞くと、瑠華は一つ頷き


「それには緑川さんの協力が必要です。なので部長は明日何とか緑川さんにコンタクトを取ってください」


「えぇ……?できればあの二人には関わりたくないんだけど…」


「身の安全が保障されると思えば安いものです」


ま、まぁそうだよな。


このままだといきなり二村から階段から突き落とされたりしそうだしな。


「分かった、君の言う通りにする。で?俺はどうすればいい?」


「少し耳を貸してください」瑠華がそっと俺に近づき俺の耳元でひそひそ。別に、瑞野さんに聞かれても問題ないような気もしたが、これはこれでいい!


―――――

―――


瑠華の作戦と言うのやらを聞いて、俺は大きく頷いた。


「なるほど、それなら二村に攻撃されなくて済むな」


「とりあえず、階段から突き落とされることはないので安心ですね」と瑠華だけが冷静。


だから怖いって、瑠華。