Fahrenheit -華氏- Ⅲ



薄暗い寝室の中でも分かるほど男の刑事の顔が見る見る真っ赤になっていく様子が見て取れた。


「し、失礼いたしました!」と回れ右。


他にもバスルーム等を点検していったが、俺と瑠華以外誰も居ないことを知って刑事たちは


「はぁ、イブの夜に暇なイタズラをする輩がいるものですね。ご丁寧にファックスまで送ってきて」


と俺の写真と瑞野さんの写真がプリントされた折りたたまれた紙を開きながら男の刑事が太いため息。


ファックス―――?


「そのファックスの送り主の住所は?」瑠華が聞くと


「調べたところ特定のマンションや戸建てではなく、北品川のコンビニから送られてきたものです」


北品川―――?緑川のマンションがある所だ。


「単なるイタズラでしょうがタチが悪いですね。もしかしてお二人を羨んでるのかも。今後イタズラだけでは済まなくなるかもしれません。コンビニの防犯カメラ等で調べますが」


と女の刑事の方が言い


「いいえ、おおごとにはしないでください。実は、私たち……社内恋愛禁止なのにこっそり付き合ってて……会社にバレたら左遷かクビになってしまいます」と今度は瑠華が女の刑事に縋った。


瑠華……さっきも思ったケド大女優だな!!!


うち、社内恋愛禁止じゃないし!


「そう言うことですか。では念のためお二人の勤務先と、あなたの―――」


「柏木 瑠華です。勤務先は神流グループ株式会社」と答えた。


「捜査のご協力ありがとうございます。すみません、お二人の大事な時間を邪魔してしまって」と女の刑事の方は最後まで冷静だった。


「いえ、イタズラだとしてもタチが悪いですね。何もなかったこと証明できて良かったです」瑠華も頭を下げ、二人の刑事たちは帰って行った。