ふっ
あたしは何故か笑ってしまった。
「It's like a real family. The relationship was already broken a long time ago.
(まるで本当に”家族”みたいね。とっくに壊れてるのに)」低く言ってマックスを睨むと、マックスはまたも大げさに肩をすくめた。
「I'm the one who broke up the family, but I'm also the one who wanted to rebuild it again.
(壊したのは俺だが、また再構築したいと思ったのも俺だ)」
「Really selfish person.(ホント、勝手なひと)」
殆ど出口に向かっていたあたしはマックスの座っているソファに足を向けそこまで歩いて行った。ローテーブルにヒールのまま足を乗せると前のめりになってマックスのネクタイを勢いよく掴んだ。予想もしてなかったことだろう。マックスが思わず前のめりになってあたしたちの顔は急接近した。ティムが少し慌てたようにこちらに走ってきた。
「言ったでしょう?女を甘く見るなって。
今度またフザケタこと言ってきたら、その口引き裂いてやるわ」
日本語だったからマックスは何を言われたか分からないようで「What?」と返してきたが、その顔は困惑が浮かんでいた。
あたしはマックスのネクタイから手を離すと、マックスはあっけなくソファの背に逆戻り。ティムは驚いたように目を丸めていたが、あたしたち”元”夫婦のどちらの味方をするつもりもないらしい。
「Bye, have a nice dream.(じゃね。よい夢を)」
手をひらりと振ってあたしは踵を返した。
ホテルの広い駐車場―――あたしの車が停まってる場所で、あたしは「さて、どうしたものか」と悩んでいた。
勿論、車が盗難にあったわけでもなく車上荒らしに遭ったわけでもない。
結構飲んだから、飲酒運転になっちゃうし。数ある代行運転業者はクリスマスイブと言うことでなかなか捕まらない。唯一捕まった代行業者に説明をすると『申し訳ございません。当社ではLFAは扱いできません』と断られてしまった。
うーん……このままこのホテルに置いてタクシーで向かうか。
また取りに来るのが面倒だけど仕方ないか、と半分諦めかけていたとき
ピコン
とLINEが入った。
葵さんだった。



