Fahrenheit -華氏- Ⅲ


あたしの今の悩みを顔に出すわけにはいかない。マックスのおかげで捨てられたもの、感情と表情。あたしはことさら無表情を作って


「Do you really think that'll make me happy?(それであたしが喜ぶとでも?)」とそっけなく言った。


きっとこの男はカマをかけてるだけだ。


この男の前で熱くなってはいけない。


「You think I don't know anything? You're hanging out with that vulture fund's CC... I mean, Jake Dallis, aren't you?
(俺が何も知らない、とでも?ハゲタカファンドのCC……もといジェイク・ダリスとつるんでるらしいじゃないか)」


何故…!ジェイクの存在をこいつが知ってるの!


思わず顔を上げると


「You know how fast rumors spread on Wall Street, right? At first, it was a mystery why that man, who only ever acted for money, bought up shares in your company. So I had it checked. Turns out you two had a “relationship” before we even met, huh?
(ウォール街の噂が回るのが早いのは君もよく知ってるだろう?最初は何であのカネの為ににしか動かない男が君の会社の株を買い取ったのか謎だった。だから調べさせた。そうしたら君たちは俺たちが出会う前に”付き合い”があったみたいだね)」


ロックグラスを持つ手に力が入りそこからギリギリと音が聞こえてきそうだった。


どこまでも―――陰湿なヤツね。