開いた口が塞がらない、とはこのことを言うのだろうか。
いつの間にか二人分のグラスにワインを注ぎ終わったマックスはその一つを持ち、勝手にあたしのグラスに乾杯。
「I knew you hated my mother.Then why not just give birth to a boy, make a comeback, and strut around with your nose in the air?Someday I'll make you realize Valentine's master is yours.
(君が母を毛嫌いしていたことは知ってたよ。だったら男の子を生んで返り咲いて、大きな顔をしていればいいじゃないか。いずれヴァレンタインの女主は君のものだと思い知らせることもできる)」
この男―――何を考えてるの?
あたしは注がれたワインを一気に飲み干した。
それはあたしが覚えている味とは全く違って、さっきファミレスで飲んだ安っぽいワインの方がよっぽど美味しかった。
マックスがすぐにあたしの空いたグラスにワインを注ぎ入れようとしたが、あたしはそのグラスの口を手で塞いだ。
「I don't want wine. I want Scotch.(ワインは結構。スコッチが呑みたいわ)」
「I knew you'd say that.(そう言うと思った)」マックスは苦笑いでこれまた用意がいいのか、テーブルに置かれたスコッチの瓶を引き寄せた。
あたしが怒っているときスコッチをストレートで飲む癖を知り尽くしてることにも腹が立ったが飲まなきゃやってられない。



