仕方なくマックスの隣に座ることになったが。
ユーリはその後ティムに連れられ大人しく寝室に入っていった。
主寝室の扉がパタンと閉まるのを確認するとあたしは腰を上げようとした。ユーリの手前マックスと仲良く見せようと思ったが、ユーリが居なければそうする必要もない。
しかし
「Wait.(待てよ)」とマックスがあたしの腕を強く引いてあたしはマックスの隣に逆戻り。
「I was waiting for you to come out of the shower. I thought we could have a drink together.(君がシャワーから上がってくるまで待ってたんだ。一緒に呑もうかと思って)」と赤ワインを掲げるマックス。
「I don't feel like drinking with you.(あなたと呑む気にはなれない)」
「Don't say that. It's the wine you liked.(そんなこと言うなよ。君が好きだったワインだ)」
72年もののシャト・ペトリュス。
覚えてたの?
「I thought you'd forgotten all about me because of that other girl.
(他の女のことであたしのことなんてすっかり忘れたかと思ってたけど)」皮肉を言ってやると
「I've forgotten about other women. But you... I just can't forget you.
(忘れたのは他の女のことだ。でも君だけは―――どうしても忘れられない)」
マックスの腕があたしの背後に回った。そのまま肩を抱き寄せられ
「I know I keep saying this, but can we start over?(何度も言ってるが、俺たちやり直さないかい?)」
「I've told you many times, I have no intention of doing so.
(何度も言ってるけどその気はない)」マックスを睨みながら言ったが、あまり効果はないようでマックスは二つ用意されたグラスに赤ワインを注いでいる。
何か……何か、決定的になる一言がないのか。グラスに注がれるワインレッドの液体を見つめながらぴんと来た。
「If we started over, Jessica wouldn't shut up about it.
(あたしたちがやり直すことになったらジェシカが許さないんじゃない?)」
マックスだってあの魔女のような母親の名前を出されたら手を打てないだろう。
「Hmm.(うーん)」案の定少し悩んだ素振りを見せた。
悔しいけどあの魔女にはマックスも勝てないのね。心の中で笑っていると
「I have hands. Hey Ruka, why don't we have another child?(手はある。なぁ瑠華、もう一人子供を作らないか?
Right, now I want a boy.
そうだな、今度は男の子がいいな)」
は――――?
何言ってるのこのひとは。



