Fahrenheit -華氏- Ⅲ



「Diner?(ダイナー?)」とマックスを見上げちょっと考えて


「It was kind of a fancy structure, and there were a lot of families.
(ちょっと派手な造りで家族がやたらと多かったな)」


「ああ、ファミレスのこと」


確かにファミレスならユーリの好きそうなものがたくさんあるだろうけれど、日本に来てわざわざファミレス?


「Hey, Mom can go with us, right?
(ねぇママも一緒に行けるでしょ?)」とユーリはマックスの顔を見上げた。


「Yes, Mom and Tim, let's all eat together for the first time in a long time.
(そうだな、ママとティムも久しぶりにみんなで食べよう)」


ちょっと!何勝手に答えてるのよ!


でも―――ユーリとは一緒に居たい。さっきあんな風に手を振り切っちゃったのに、ユーリは以前のようにあたしのこと受け入れてくれる。


まるで昔に戻ったみたいで嬉しかった。


あたしが乗ってきたLFAは二人乗りだから、あたしたちはホテルに常駐しているタクシーの一台に乗ってそこからそう離れていないファミレスを見つけてそこに入ることになった。ホントはユーリと二人っきりで食事がしたかったけれど。


全国チェーンのどこにでもあるファミレスだったが、ユーリは入る前からはしゃいでいてあたしの手とマックスの手を取るとタクシーを飛び出てすぐに店に入ろうとする。


「いらっしゃいま―――……」店員さんがあたしたちを招き入れるときに言葉に詰まったのはどうあっても目立つ容姿のマックスと、いかつい大男のティムを目にしたから、だろう。店員さんが何か言い出す前に


「四名です、入れます?」とあたしが聞くと、日本語が通じると思ったことに少し安心したのだろうか、それとも唯一まとも(?)なあたしの姿を目にしたからかちょっと安心したように、それでもぎこちなく笑顔を浮かべたまま


「こちらへどうぞ」と案内された。


席に案内されるまで客の視線が痛い。皆一様にひそひそと声を潜め噂話をしていたり「わー!かっこいい!ハリウッド俳優!?」とかマックスの容姿に見とれてる若い女の子たち「すっげぇアメフト選手?」とかティムの方を見て噂している男の子たち。「可愛い子ねぇ!ハーフかしら。あの女の子ママかしら。よく似てるわ」と噂する主婦。


アメリカに居るときは普通だったけど、今はやっぱりちょっと恥ずかしい。