瑞野さんは爆弾を見せる、と言ったがまた不意打ちに写真を撮られたらかなわん。
俺は身を後退させたが瑞野さんは気にした様子もなくその場で何かを探している。
「あ、あった、あった」と瑞野さんは何かを見つけたのかその画面を俺に見せてきた。それは動画―――だった。
どこかマンション―――?誰かの部屋なのだろうか。観葉植物の葉っぱの隙間からあまり大きくないソファに座った二村と瑞野さんの姿が見える。
「これ―――」思わず瑞野さんの方を見ると瑞野さんが
「二村くんの部屋です。まぁご存知の通り隠し撮りって言うやつですが。二村くんは撮られてるなんて気づいてなくて」
だろうな。
二村はソファの上で胡坐をかいてコーヒーか何かを飲んで随分リラックスした様子だ。長袖のロンティーにチノパンんと言う恰好だった。
『緑川さんと結婚ってどういうこと!』瑞野さんの語気を強めた声が聞こえてきた。これは演技じゃなく本気っぽく聞こえる。日付を見るとまだ二村が緑川と瑞野さんに二股掛けていた時期だ。
『”期間限定”の結婚だ。別に葉月のこと愛してるわけじゃない』
『どういう意味よ、ちゃんと説明して』瑞野さんの声が震えている。これは恐らく演技ではなく本気なんだろう。
俺も”期間限定”ってとこに引っかかった。
『葉月が妊娠した。ハプニングだと思ったが利用できない手はない』
瑞野さんが言葉を失ったように両手で口元を覆い、遠目でも分かるほど目を目いっぱい開いている。恐らく、この時点で緑川の妊娠が本当だと瑞野さんは思ったに違いない。
『妊娠……緑川さんが……』
『ああ、だから結婚するのさ。あのタヌキオヤジの副社長も流石に妊娠した娘を放っておかないだろ?』
『じゃぁ完全にあたしを捨てて緑川さんに乗り換えるってこと!』瑞野さんが叫びながら立ち上がった。その拍子にローテーブルに足でもぶつけたのだろう。マグカップが転がって、しかし床に落ちることはなかった。
『落ち着けってみゆき。言ったろ?結婚はあくまで”期間限定”だって』
『……意味が…分かんないよ!空ちゃんが何を考えてるのか分からない!』瑞野さんはとうとう声を荒げて泣き出した。
『みゆき、お前には悪いと思ってる。俺が葉月と付き合いはじめるときにお前が言った『神流部長が好き』って言葉も嘘だったんだろ?』
え――――?瑞野さんがそんなことを!?



