♥Ruka♥
20XX年12月24日 土曜日
今日は心音がNYから東京に戻って来る日。ジョン・F・ケネディ国際空港 — 東京国際空港で17:45に成田到着予定になっている。
大好きな親友と久しぶりに会える、という晴れやかな気持ちの反面、啓は瑞野さんにどう応えるのか―――それが気になる。
不穏なことは考えまいとして昨夜は―――たっぷりと時間をかけて風呂に入り、念入りにスキンケアをした。お酒も少なめにしてその分眠剤でたっぷり熟睡し、昼頃起きてきてまた風呂に入り化粧を施し、髪も緩めに巻いた。
久しぶりに会うから服選びもどことなく気合が入り、プラダのブラックワンピースを選んだ。まろやかなカーブを描く襟はほんのちょっと立てて、アシンメトリーにカッティングされた前見ごろのボタンをきっちり留め、プラダのボールチェーンのブローチを首元から襟につけて。バッグもプラダのスクエアタイプのもの。コートも黒だったが、ベルトがレオパード柄の、こちらはドルチェ&ガッパーナ。少し大ぶりの揺れるタイプのピアスもドルガバで揃えて。
これならあの華やかな心音の隣に居ても大丈夫よね、と入念に鏡の中でチェック。普段はあまりつけない(仕事上邪魔になるから)スクエア型のダイヤの指輪を中指にはめたとき―――思いとどまった。
今日だけは―――いいよね。あたしはリビングのチェストの引き出しに入っている”大切なもの入れ”の箱を取り出し、そこから啓と御揃いで買ったティファニーのアトラスリングを左手薬指にはめた。
啓――――
今日、瑞野さんと過ごすと分かっていても、ただ食事するだけで終わって――――
啓の唇も、啓の体も、体温も香りも
全部あたしだけのもの。
誰にも渡す気がない。
例え瑞野さんであろうと。



