♥ Ruka ♥
普段ならもっと遅くまで仕事をしているけれど、別れてから三日、正直、啓の隣で普通に仕事をするのは辛い。
目が合ってしまう度、些細なことで手が触れあってしまう度、過剰な程反応してしまう自分がイヤ。ぎこちない空気もイヤ。
これじゃ未練ありますみたいなことを言っているようなものじゃない。
啓は―――みっともなく縋りつく女が嫌いだろう。
鬱陶しいだろう。
啓にそんな風に思われるのはイヤ。
だから時間内にできることを集中してやっつけて、明日に回せるのは回して、できるだけ…一分一秒でも早く帰ることにした。
「お疲れ様です。お先に失礼いたします」
「お疲れ」
そっけないやり取りを交わして、会社から出たものの
さぁ…この後どうしよう。
18歳から仕事と育児漬けだったから、空いた時間の使い方が分からない。
たくさん借りたDVDも全部見終わって返却したばかりだ。
興味のひく映画も、もうない。
本でも読もうかな。最近……と言うか日本の本を読んだことがあまりない。
難しい言い回しの日本語…特に漢字は苦手だし。
小説とかどうかしら。エッセイの方が入りやすい?
と思いながら会社の近くの割と大きな複合ビルの中に入っている本屋さんに立ち寄り、
けれど小説コーナーに行ってもピンとこない。
『話題の!』とか『泣ける!』と言ったポップで飾られた本を一応は手にしてみるものの、裏表紙を見てそそられなかった。
小説コーナーの隣は漫画コーナーになっていて、
そう言えば心音は日本の漫画?と言うのかアニメに深く興味を示してたっけ…と思いながらふらりとその場に足を運ぶ。



