♥Ruka♥
TRRRRR!
遠くで電話が鳴っている。
それは分かっている。分かっていても音の出どころが分からない。
あちこちに手を這わして音のなる出どころを突き止め、スマホを手にすると
着信:葵さん
になっていた。
光る文字と着信音を聞いただけで大きなため息が出た。
枕元のナイトテーブルに乗せたデジタル時計は朝の7時半を差していた。平日の通常なら起きている時間だが、今日は休日だ。
無視しよう、そう決め込んでスマホを伏せ、布団を頭から被り、コール音が消えた所で
諦めた?とそろりと布団から顔を出すと、まるで見計らったかのようにまたも着信が鳴った。
何なの…
それでも無視し続けてたけれど、二回、三回と立て続けに電話が鳴ると根負けしてとうとう電話に出ることに決めた。
「…はい、柏木です」
寝起きの不機嫌を隠すことなく電話に出ると
『おっはよ~瑠華ちゃん♪』と朝から元気過ぎる程の明るい声で答えられて、あたしは額に手を置きながらベッドに逆戻り。
「何なんですか、朝早くに」
『ごめんね~』と言った割に悪びれた様子もなさそうだ。
『昨日、空汰から電話掛かってきてさ、ちょっと複雑な内容だったから瑠華ちゃんなら分かるかもって、会って話せない?』
「今日でないとダメなのですか」
うんざりした口調で返すと
『早い方がいいかと思って、今日は休みでしょ?』
「ええ、まぁ…」とあたしとしたことが素直に答えてしまった後になって後悔した。
『じゃ、決まり♪今から言う所に来て。場所はメールで送っておくから。三時間後とかどう?』
三時間…
今からシャワーを浴びて化粧をして……
まぁ間に合わない時間でもない。
「分かりました」
結局返事をしてしまった。



