Fahrenheit -華氏- Ⅲ



♥Ruka♥


役員の会合は今日だ。


そうとは知っていても、今のあたしにはどうすることもできない。


とりあえず、紫利さんにどれぐらいの比率なのか探ってもらうつもりではあるが。


今のあたしが出来ること―――


あたしは定時を迎えると残業もそこそこに、スマホの地図アプリのナビを頼りに、緑川さんが指定した


カラオケボックスの前に立っていた。


こうゆう所来たのは二度目だ。一度目は経理部との合同飲み会で大勢だったし、何も言わずとも聞かずともただ案内されるままついて行けば良かったけれど。


白くてきれいな受付ホールのカウンターに制服を着た女性が一人。


「あの……405号室で緑川と言う名で予約を取っているんですが、ツレが先に入っていますが」


と聞くと、女性スタッフはすぐにPCで調べて


「緑川様ですね、お連れ様もういらっしゃっていますのでどうぞ、そこのエレベーターをお使いください。4階です。


こちらはドリンクバーのグラスになります」とグラスを手渡された。さらに「ドリンクバーは3階に女性用お手洗いは4階になります」とぺらぺらと説明されて、その勢いにぎこちなく頷くのが精一杯。


日本のカラオケボックスって凄いのね。


前回来たときはあまりきょろきょろしなかった。ただ流されるままついていっただけで。


4階に到達して、両脇にずらりと扉がある。茶色い扉に細長いすりガラスの窓がついていて、そこからあちこちの部屋で歌声が響いていた。


『405』の表示を見つけ、


ホントにここであってるのかしら…とちょっと不安になりながらも一応ノックをしてみる。


すりガラスの向こう側に緑川さんが現れ、扉が外側に開かれほっとした。