♠ K ♠
まっすぐに歩けない瑞野さんの腰を支え…決して下心があったわけじゃねぇぞ!
何とかタクシーに乗せた。
タクシーに乗り込むと瑞野さんはぐったりと首を窓側に横たえて、目を閉じていた。
俺は彼女にシートベルトを着け、自身も装着しながら
「すみません、横浜方面まで」と伝えた。
タクシーが走り出し
「あ、綾子?悪りぃな、こんな時間に。瑞野さんの住所って分かる?」と電話で聞くと
『分かるけど、あんた何しようとしてんの?』と疑うように声を低める綾子。
『何なに?』と遠くで裕二の声も聞こえる。
相変わらず仲いいのな、お前ら。
「成り行きで瑞野さんと飲むことになったんだけどさ、彼女酔いつぶれちゃって、んで家まで送ろうかと思うんだけど」
『成り行きぃ!』綾子がまたも声を荒げる。
キンキン響く声に俺はケータイを耳から離してしかめっ面。
「詳しいことは明日話すから、頼むよ」と言うと、
『分かったわ。調べてすぐメールする』と。流石に仕事が早いな。
綾子からのメールは5分も満たないうちに届いた。
住所の所在地を運転手に告げ、目的地もはっきりした。
つ…疲れた……
俺は片手の人差し指で喉元のネクタイを緩めた。
本当に―――
疲れた。



