Fahrenheit -華氏- Ⅲ



♥ Ruka ♥


キーパーソンは


ミミちゃんこと



瑞野さんだ―――




お金を払っただけある。収穫はあった。


勿論料理のコース代はあたしが支払いをして、ホテルを出る時、葵さんは急にくだけた感じで万歳をした。


「何かさ~、ああ言うかしこまった所苦手ってかさ、」


「同感です。私も好きじゃありません」


「そーなの?行き慣れてる感じがしたけど」


「慣れてはいますが、好きじゃありません」


きっぱり言い切ると


「じゃぁさ~もう一杯やりなおさない?まだ腹膨れてないし~瑠華ちゃんからたくさんもらったから俺が出すし」


出す、と言ってもその出どころはあたしだけど…


「私はお腹いっぱいです。それにあなたに付き合う義理もありませんので。


あなたと会うのはあくまでビジネスです。仲良く呑み友達と言う関係ではありません」


キッパリ言い切ると


「やっぱ面白れ~」と葵さんはお腹を押さえながら豪快に笑う。


「何度も言いますが、面白い、とは女性にとって褒め言葉じゃありませんが」


「褒め言葉じゃないもん。思ったこと言っただけだし」葵さんは明るく笑いながらあたしを覗き込んでくる。


変なひと。


素直というのかストレートと言うのか。


あたしの冷たい態度にちっともへこたれた様子がない。珍しい人種……


いえむしろ珍種??


「でもさー、空汰に何て言えばいいの?俺、今日瑠華ちゃんに会うって言っちゃったんだよね、あいつに」


「それは好都合です。彼には『好感触だった』と伝えてください。


彼氏にフラれて寂しいって、弱ってる女はちょろいって」


「なるほどぉ」葵さんは手をポンと打ち、「てか瑠華ちゃんでも『ちょろい』とか言うんだね」


「言います」


と言うか最近覚えたばかりだ。啓が使ってた言葉―――


………


考えたらあたし、啓から教わった言葉でろくな言葉がないのでは??


あたし


ホントに啓と付き合ってて良かった―――のか??