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「や…ヤダっ!顔を上げてよ!」
さっきまでまるで噛みつきそうな勢いだった綾子が、その勢いを仕舞いこんでとたんにおろおろと土下座をした俺の方まで這いずってくる。
「そうだよ、頼まれなくたって俺たちはいつでも啓人の味方だから」と桐島に言われ
「俺らたった四人の同期だろ?今まで散々助け合ってきた仲じゃねぇか」
裕二……
「三人とも…ありがとう」
俺は礼を言った。
心から―――
そして俺は何故、瑠華と別れる羽目になったのか説明することになった。
瑠華が偽の裏オークションを企んでいたこと、それを二村が嗅ぎつけ、俺を強請ってきたこと。
強請の内容は「表に出されたくなかったら、瑠華と別れろ。そして緑川に瑠華を近づかせるな」と言うことだった。
「裏―――…オークション?」
今度は綾子と桐島が顔を合わせて目をぱちぱちさせる。
「こないだのHPだろ?あのIDとPWは俺が調べる前にウィルスの攻撃にあったヤツ」
「何それ」綾子が裕二を見る。
「妨害したのは心音ちゃんだ。それは間違いない。けれど問題はどうして二村のときは妨害しなかったのか、いや―――
ハッキリ言えるが、アレは心音ちゃんが仕掛けた罠だ」
「「「罠―――」」」
三人同時に声が重なり
「ところでココネちゃんて言うのは?」と桐島。
「それは後でいい、で?心音ちゃんがどうして」と裕二がせっかちに言う。
「つまり仕掛けはこうだよ、心音ちゃんは偽のHPを作ってわざと二村をそこに誘導させ、そして“わざと”相手にIDとPWを入手させた。そしてこれもそうだと思うが“わざと”IPアドレスを追跡させた」
「わざと…?」綾子が首を捻る。
「考えてみろ?裕二、お前程のSEが早々に手にできないものを二村が何で手に入れられる。他に凄腕SEが居るって言うんならそれまでだけど、心音ちゃんは知っての通り、あの業界でトップクラス。そんな女に対抗できる人間がそう都合よく見つかるか?」
「ま、まぁ……そうだが」
「これもあくまで仮説だが、あいつはシステム部にもなんらかのコネがある。恐らく女だろうが、その女を利用して、心音ちゃんの作った裏サイトまで辿りついたんだよ。
心音ちゃんの目的はただそれだけだった」
「つまり―――…?」桐島が顎に手を置く。
「つまり、その裏オークションなんて存在しない。
瑠華があげた桂林リゾート開発権利のオークション稟議は
ホンモノだということ」



