現在時刻は深夜一時近く。
人もまばらになっているとはいえ、覚束ない足取りで歩く酔っぱらいなんかの姿もちらほらと見られる。
もう電車は出ていないだろうけど、駅前に行けばタクシーを拾えるかもしれない。
下手に絡まれないようにと道路の端を足早に進んでいけば、突然目の前に立ち塞がるようにして現れた、大柄な男。
歳は三十を過ぎているだろう。
季節はもう十月半ばだというのに、男は黒のタンクトップにカーキ色のハーフパンツとかなりの軽装で、見ているこっちが寒くなってくる。
「よぉお姉ちゃん、暇なら一緒に飲まねぇか?」
「……いえ、急いでいるので」
この男、相当酔っぱらっているみたいだ。
噎せ返るようなアルコールの匂いに思わず顔を顰めてしまう。
そのまま横を通り過ぎようとすれば、男に右腕を掴まれた。背中にゾワリと寒気が走る。



