渡辺くんと炎上代行を始めてから2日くらい経つと、教室の空気が明らかに変わっていた。
『昨日の配信見た?』
『やばくない?』
『あの声さ、朝比奈に似てるよね』
『それな』
『あれ絶対朝比奈だって』
笑い声、視線、ヒソヒソ話し。
今までどんなに動画を上げても話題になってこなかった私なのに、渡辺くんの指示通り動いただけで、もうこんなに話題になっている。
もうコメント欄が荒れるだけじゃなくて、目の前で騒動が起こっていることに少し怖さも感じた。
だけど同時に、昨日の配信の数字が頭から離れなかった。
視聴者300人。
今までの何十倍もの人が、私を見ていた。
やっと見つけてもらえた感覚がして、それが怖くもあり嬉しくもあった。
クラスメイトから色々聞かれたりもしたけど、なんとか曖昧にはぐらかす。
絶対に私だと言い張る人、こんな地味なやつが過激な配信なんかするわけないと否定する人。
半々くらいに分かれていた。
昼休み。
みんなの質問責めから逃げるように旧校舎の階段へ向かうと、そこにはもういつもの先客がいた。
「やっと来たか。はいよっと」
「うわっ!?」
階段に座っていた渡辺くんがペットボトルの炭酸飲料を私に投げた。
なんとか落とさず受け取ると、買ってきたばかりだということがすぐにわかるくらいひんやり冷えていた。
「ハハハ。顔、終わってんな」
「……誰のせいだと思ってるの?」
私が膨れると、渡辺くんがもっと笑顔になる。
「でも、昨日のおまえ、めっちゃ楽しそうだったけど?」
「………」



